日伝 (9902)

暮らしの裏側で、日本のものづくりを支える。日伝が「見えない部品」と「対話」に込める想い

第2回: 日伝のインタビュー写真
ご担当者様:楠様、田内様

駅の自動改札機、回転寿司のコンベアレーン、遊園地のジェットコースター。私たちが普段何気なく目にしている風景の中には自動で動いているものが沢山あります。そしてその心臓部には、ベアリングやチェーン、空気圧機器といった小さな部品たちの存在が欠かせません。
こうした部品を機械メーカーへ届け、さらには工場設備全体のコーディネートまで担うのが、専門商社・株式会社日伝様です。あらゆる産業を支える事業の仕組みから、創業者が切り拓いた「標準化」の歴史、そしてうどんやお米の株主優待に込められた想いまで、IRご担当者にお話を伺いました。

あらゆる産業のものづくりを、部品で支える

――日伝様は「機械の部品を扱う専門商社」とのことですが、具体的にはどのような事業を行っているのでしょうか。

(楠)

一言で申し上げますと、機械メーカー様に、機械を動かすために最適な部品を提案しタイムリーに納入する仕事です。直接メーカー様へ納入することもあれば、地域の販売店様(ディーラー様)を通じて供給することもあります。

機械と一口に申しましても、その種類は実に多岐にわたります。自動車工場で活躍する各種ロボットをはじめ、金属を切断するレーザー加工械、食品を加工する機械、木材を自動的で切断・加工を行うプレカット機など様々です。そうした機械は、最終的に自動車や家電、食品、医薬品、住宅といった、日本のあらゆる産業の生産現場で稼働しています。

私たちの直接のお客様は機械メーカー様ですが、その先には日本の産業全体が広がっています。特定の業界だけでなく、全産業のお客様へとつながっている。これこそが日伝の最も大きな特徴です。

――幅広い産業に顧客基盤をお持ちであることが、事業の安定性にもつながっているのですね。

(楠)

その通りです。もし特定の業界、たとえば自動車業界だけに特化していますと、その業界の景気の波をもろに受けてしまいます。

しかし当社の場合は、半導体のように急激な需要拡大が見られる分野もあれば、食品や医薬品のように景気変動が少なく常に安定している分野もあります。このように異なる市場環境を持つ業界をバランスよくカバーしているからこそ、どんな時代であっても安定した経営を維持することができています。

――いま特に注力されている、あるいは成長の手応えを感じている分野はどこでしょうか。

(楠)

特に注力しているのは、ロボットや自動化機器、省力化機器関連や、半導体製造装置の分野です。現在、半導体業界は世界的な設備投資が活発で、装置メーカー各社様がフル稼働で生産を続けられています。当社も半導体製造装置関連の主要メーカー様に部品を供給しており、この分野の伸びが足元の好調な業績を力強く牽引しています。

また、その根底には日本が直面している少子高齢化と深刻な人手不足があります。今後も、国内の労働年齢人口の減少は長期的なトレンドであり、あらゆる現場で「人に代わってロボットや機械が担う」自動化が必須になります。少子高齢化は社会的な課題ですが、ものづくりの自動化を支える当社にとっては、事業機会の拡大につながる重要なテーマです。この需要は、2030年代に向けて拡大傾向にあると見ています。

ベアリング1個から、工場設備全体のコーディネートまで

――私たちが普段目にする身近な場所でも、日伝様が扱われている部品は使われているのでしょうか。

(楠)

実は、身の回りのあらゆる場所で使われています。 代表的なものでは、回転の摩擦を抑えて滑らかに動かす「ベアリング」があります。ロボットに使われる高精度なものから汎用的なものまで、動く機械には欠かせない部品であり機械産業の米と言われています。

また、「空気圧機器」も多く扱っています。路線バスのドアが開閉するときに「プシューッ」と音がしますよね。あれは空気圧(エアーシリンダー)の力で動かしています。油圧と違って空気は万が一漏れても安全ですし、排気しても環境に影響がありません。

このほかにも、回転寿司のお皿が回るレーンの下にあるチェーンや、ジェットコースターを引き上げるチェーン、駅の自動改札機の中で切符を正確に搬送するベルト、人や物を感知するセンサーなど、手動ではなく「自動で動いている機械」の内部には、ほぼ例外なく当社の取り扱い部品が使われていると言っても過言ではありません。

――食品や医薬品の製造現場でも、御社の部品が数多く使われているとお聞きしました。

(楠)

食品工場の現場には、まさに多種多様な機械がひしめき合っています。たとえば、当社が部品を納入している、ある大手食品機械メーカー様では、チーズ入りハンバーグのように、異なる具材を包み込んで成形する高度な食品機械を製造しており、多くの食品工場で活躍しています。

また、ペットボトル飲料を製造する工程を見ると、中身を充填する装置、ペットボトルを成形する装置、ラベルを貼る装置と、何台もの機械が連動しています。医薬品の現場でも、薬液を撹拌する装置や、カプセルに薬を詰めていく充填装置などが稼働しており、そうした極めて高い衛生基準と精度が求められる現場の機械にも、当社の部品が数多く組み込まれています。

――ひとつの機械の中に、御社の部品が何種類も使われているケースもあるのですか。

(楠)

はい、ひとつの機械に複数の部品が使われています。ロボットや省力化機器を1台組み立てるには、関わる部品メーカー様は何百、何千社にものぼります。その中で、当社からできる限り多くの部品を取りまとめて供給しています。お客様によっては、製造に必要な部品のほぼすべてを当社が一括して手配・納入する「ワンストップ調達」をお任せいただくこともあります。

さらに当社では、部品単体の供給にとどまらず、「設備そのもののトータルコーディネート」も手がけています。 ロボットは、本体だけを導入しても作業はできません。対象物の材質や形状に応じて、掴むハンド部分をどのような形状のハンドにするのか、バキュームにするのか、マグネットにするのかが重要になります。作業後に次の工程へ運ぶコンベアはどう配置するのか。前後の付帯装置を含めてシステム全体を設計・連携させて、初めて現場で機能します。

数円から数十円の小さな部品から、数十億円規模の大型ライン設備まで、現場のニーズに合わせて柔軟に対応できる幅の広さこそが、ものづくり現場から当社を頼りにしていただける大きな強みです。

日本のものづくりを支える。創業者が切り拓いた「標準化」の歴史

――海外にも展開されていますが、国内の生産現場との結びつきも非常に強いそうですね。

(楠)

当社の売上の中心は国内ですが、中国、タイ、ベトナム、アメリカにも拠点を展開しています。海外事業は、現地へ進出された日系企業様のアフターメンテナンス(MRO:補修・保全用部品の供給)からスタートし、現在では現地のローカル企業様への供給や、現地生産ラインへの部品納入へと広がっています。

ただ、お客様である装置メーカー様――とりわけ半導体製造装置などの先端メーカー様は、現在でも日本国内に製造拠点を残して生産されているところが非常に多いのが実情です。

これには、明確な理由があります。日本には世界最高水準の技術力を持つ部品メーカー様が集積しており、「ここをあと少しこう改良してほしい」といった細かな要望にも、極めて高い精度と迅速さで応えてくれます。以前、ある世界的な半導体製造装置メーカーのトップが「日本でしか手に入らない高品質な部品があるからこそ、国内で作り続けるのだ」と語られていましたが、まさにその通りだと思います。優れた部品メーカー様と、それを用いて世界的な装置をつくるメーカー様の間をつなぐことこそ、商社である当社の重要な役割です。

――その「つなぐ」という姿勢は、創業当時から受け継がれてきたものなのでしょうか。

(楠)

当社の歴史を振り返りますと、まさにそこが出発点でした。創業者の西木利吉(にしき・りきち)が1935年に個人創業した「錦商店」をルーツとし、戦時中の一時休業を経て、1952年に「日本一の伝動機器商社を目指す」という志のもと、日本伝導株式会社を設立したのが現在の当社の始まりです。

戦後の復興期、機械部品といえば「こういう寸法のものを1個作ってほしい」と、一品一様で特注するのが当たり前の時代でした。しかし、特注生産ばかりでは時間もコストもかかり、日本の産業発展のスピードが上がりません。 そこで創業者は、「部品の寸法規格をあらかじめ統一して標準化しよう。そうすれば在庫からすぐに納品でき、ものづくりの効率が劇的に高まる」と考えたのです。

――当時としては、画期的な着眼点ですね。

(楠)

本当に先見の明があったと思います。創業者はメーカー様を一社ずつ説得してプーリーやスプリングなどの規格を標準化し、日本で最初期となる機械パーツの総合カタログ『日伝商報』を発刊しました。寸法や仕様がカタログに明記されているため、設計者の方々はカタログを見ながら「この標準品を使って設計しよう」と考えるようになりました。

カタログから選んで即納できる仕組みを作ったことで、部品の標準化が一気に普及し、当社も日本のものづくりの発展とともに大きく成長することができました。「日伝」という社名も、当時の「日本伝導精機」という社名が長かったことから、お客様が親しみを込めて「日伝さん、日伝さん」と呼んでくださっていた愛称を、そのまま正式な社名として採用したものです。

大阪からスタートした拠点網も、現在では北海道から九州まで全国を網羅し、地域密着できめ細かくお客様をサポートできる体制を整えています。

商社の枠を越えて。オフィスの効率化から障がい者雇用まで

――近年では、従来の商社の枠組みにとどまらない新しい展開も始まっているそうですね。

(楠)

お客様のものづくりを取り巻く課題が多様化する中で、私たちも提供できる価値の幅を広げています。グループ会社には、木工機械の販売やメンテナンスを担う岡崎機械や、油圧プレスシステムの設計・製造を手がけるエヌピーエーシステムといった、製造機能を持つ企業があります。

さらに2024年には、ものづくり産業向けポータルサイトや動画配信プラットフォームを運営する「アペルザ」をグループに迎えました。こちらは機械のハードウェアではなく、受発注業務の効率化やSFA(営業支援システム)、AIを活用した事務効率化など、オフィスのDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するサービスを展開しています。

製造ラインの自動化だけでなく、間接部門の業務効率化まで総合的にお手伝いできるように支援の幅を広げています。まだグループ全体における売上構成としてはこれからですが、次世代のものづくりを支える上で重要な挑戦だと位置づけています。

――事業活動と並行して、障がい者雇用にも力を入れていらっしゃると伺いました。

(楠)

はい。こちらは事業としての利益を目的としたものではなく、純粋な社会貢献活動として、障がいのある方々の就労と活躍の場を設けています。

具体的には、ハーブティーの栽培・加工と、本格的なコーヒー生豆の選別から焙煎・ドリップパックの製作を行っています。現在、それぞれ8名ずつ、計16名のスタッフが生き生きと働いています。

――製作されたコーヒーやお茶は、どのように活用されているのですか。

(楠)

一般への販売は行わず、株主総会やIRフェア、展示会などで皆様にお配りするノベルティとして活用させていただいています。

この取り組みで大切にしているのは、障がい者の方が、働く喜びやものをつくる楽しさを実感していただき、働きがいを感じて長く就業していただくことです。現在まで、離職された方は一人もおりません。

スタッフの皆さんは本当に作業が丁寧で、素晴らしい集中力を持っています。枚方ファームでは、ハーブの種植えや挿し木葉を愛情をもって丁寧に行い、美味しいハーブティを制作しています。また、門真BYSNでは、生豆の一粒ひと粒まで妥協なく目利きしてくれるため、非常に高品質で美味しいコーヒーができあがります。「中途半端な仕事は絶対にしない」という真摯な姿勢には、私たちも日々多くの学びと刺激をもらっています。

創業の地に感謝を込めて。株主優待のうどんとお米に宿る想い

――日伝様といえば、個人投資家の間では「讃岐うどん」やお米が届く株主優待が大変好評です。なぜうどんとお米を選ばれているのでしょうか。

(楠)

よく「なぜ機械商社でうどんなのですか?」とご質問をいただくのですが、実は創業者の西木利吉が香川県の出身だからです。

香川から単身大阪へ出てきて事業を起こしたという歴史があり、創業者のふるさとへの感謝と愛情を込めたものが、現在の優待品につながっています。ですから、9月末の優待品としてお届けしている半生讃岐うどん(石丸製麺様)も、お米も、すべて創業の地である香川県にゆかりのある品を選んでいます。

――創業者のルーツへの想いが、優待という形で今も続いているのですね。

(楠)

その通りです。最初は1991年の店頭登録の頃、1,000株以上を保有してくださる株主様へのお米の贈呈から始まりました。その後、株価の上昇に伴って「1,000株単位では個人投資家の方にとって購入のハードルが高いのではないか」という議論があり、2004年に売買単位を100株に変更しました。その際、100株から応援してくださる方にも喜んでいただきたいという想いで導入したのが、讃岐うどんです。

現在は年2回、9月末に「讃岐うどん」(100株以上1,000株未満)または「お米」(1,000株以上)、そして3月末には「社会貢献寄付金付きQUOカード」をお届けしています。QUOカードには国土緑化のための募金が付いており、株主様が優待を受け取られること自体が自然と社会貢献につながる仕組みを取り入れています。

――株主の皆様からの反響はいかがですか。

(楠)

大変ありがたいことに、非常に多くのご支持をいただいています。ただ、その中で最近、株主様から少し切実なご意見をいただくようになりました。

「優待のうどんが大変美味しいので、毎年楽しみにしています」「100株の次が1,000株では、個人投資家としてのハードルが高い。ぜひ500株位で優待を設けてもらえると若い投資家の保有株数が増えるのではないか」というお声です。

インターネット上のコミュニティなどでそうした声があることは把握していたのですが、実際にIRフェアのブースで株主様から直接熱心にお話しいただき、「本当にそう思ってくださっているのだ」と肌で実感いたしました。

――ファンならではの、嬉しいお声ですね。制度の見直しも検討されているのでしょうか。

(楠)

はい、まさに現在、社内で前向きに検討を進めています。

まだ確定事項ではありませんが、たとえば100株と1,000株の間に「500株」という区分を新設し、定番のうどんにプラスアルファで喜んでいただける品を組み合わせられないか。さらに、長期保有してくださる株主様への優遇を拡充できないか、といった点について具体的に議論を重ねています。

株主優待は一度手厚くすると後から縮小することは難しいため、慎重な検討が必要ですが、当社を応援してくださる個人投資家の皆様の温かいお気持ちには、できる限り早く、魅力的な形でお応えしたいと考えています。

「顔が見える関係」を大切に。株主とともに歩む未来へ

――株主の皆様との対話を、非常に大切にされている姿勢が伝わってきます。

(楠)

当社は東証プライム市場に上場していますが、株主構成を見ますと個人投資家の方が非常に大きな割合を占めています。だからこそ、まずは個人株主の皆様に「日伝の株を持っていて本当によかった」と感じていただける企業でありたいと考えています。

そのために、配当性向を着実に高めて利益を還元していくことと、魅力ある優待を通じて当社の想いをお伝えしていくこと、この両輪を大切にしています。

最近では対話の機会も積極的に増やしており、東京で開催される「日経IR・個人投資家フェア」への出展に加え、大阪での開催や、来年2月に東京ビッグサイトで行われる「株フェス」への初出展も予定しています。年に3回も大規模な個人投資家向けイベントに出展するのは、当社の歴史上初めての試みです。

――直接株主様とふれあう機会は、とっても大きな刺激になっているのですね。

(楠)

私自身、今年から総務・IRを担当するまでは人事業務が中心でしたので、IRフェアへの参加は今回が初めてでした。会場のブースで「日伝の株をずっと持っていますよ」「いつも応援しています」と温かい笑顔で声をかけていただき、当社を支えてくださる方々の存在を間近に感じて、胸が熱くなりました。

前回のフェアでは当社の社長もブースに立ち、直接株主様とお話しさせていただいたのですが、社長が経営への想いを語るにつれて株主様の表情がとても明るくなり、「社長のお人柄がよく伝わって、ますます好きになった」というお声を多数いただきました。

(同席された総務課長の田内氏も、次のように言葉を重ねます)

(田内)

日伝という社名は、一般にはまだまだ知られていないかもしれません。ですが、こうしてIRフェアなどで直接お話しできる場を設けることで、一人でも多くの方に私たちの存在とものづくりへの想いを知っていただきたいと考えています。私たちがこの会社にいる限り、この対話の場はずっと続けていきたいと思っています。

――最後に、株主様や投資家の皆様へメッセージをお願いいたします。

(楠)

日伝は決して目立つ派手な会社ではありません。しかし、日本のあらゆる産業の「動くもの」を支え、ものづくりの進化とともに着実に成長を続けてきたという誇りがあります。

これからも時代の変化を先取りしながら企業価値の向上に努め、生み出した成果を増配や優待という形で、株主の皆様へ誠実にお返ししてまいります。これからの日伝の歩みに、ぜひご期待いただければ幸いです。

日伝(9902)の株主優待

権利月3月、9月

100〜999 株/1年未満保有

  • 9月 【商品】

    半生讃岐うどん包丁切り詰め合わせ 300g ×3袋

日伝(9902)の企業情報を見る

この企業の株主優待を管理したい時は、優待くらしをご利用ください。

Ver 1.5.2 リリース · 2ヶ月無料で全機能お試し

優待生活の、地図になる。

株主優待を「探す」「使う」「管理する」を一つにした『優待生活インフラ』。
地図で店舗を探し、期限や新店舗情報まで自動で通知します。

  • 地図で近くの優待店舗をサクッと検索
  • 期限切れ・IR・新店舗を自動通知
  • 179,500超の店舗情報を網羅